善意では解決しない!環境を守るための制度とは(環境税・排出権取引)

前の記事、
でも少し触れたように、人々の善意に訴えかけるような、お涙頂戴的な取り組みでは環境問題は解決しません。


短期的には環境問題を気にせずに生活する方が便利に暮らせますし、自分が少しサボっても他の人が頑張ってくれたら環境問題は大丈夫だとみんなが思っているのでなかなか問題解決には向かいません。(ゲーム理論などでも取り上げられます)


学問的に大事だと言われているのは、人々に環境を守るインセンティブを与えることです。
つまり、環境破壊をすると自分が損をする、或いは環境を守った方が自分が得をするという状況を作り、環境保護に向かわせるための積極的な動機を人々に与えることが有効だとされています。



そしてその損得勘定の基準となるのがお金です。
これは極めて分かりやすい。
大半の人にとってお金は大切なので、金銭的な損得をもとに人々の行動を変えさせるというのは理にかなっているといえます。


では実際どういった取り組みがなされているのか見ていきましょう!



《法的な規制》

これはわかりやすいです。

例えば「汚染物質を基準量以上に排出したら罰金」というような法律があれば、人々に汚染物質を削減する動機が生まれます。

進んで罰金を払いたい人はいないので、削減努力をするという方向に向かいます。

日本の法律でいえば、大気汚染防止法水質汚濁防止法などにそのような項目があります。

非常に単純で分かりやすいインセンティブですが、難しいのはその基準量をどうやって決めるかです。

甘い規制だと意味がないし、厳しすぎる規制だとまともな経済活動ができなくなります。

排出基準が厳しすぎると、環境には良いでしょうが、経済発展には悪影響が出ると考えられるので、そのあたりのバランスを考えながら法規制がされています。
(この辺りの決定は、ミクロ経済学的な分析をもとに考えられています)




《経済的な誘因》

法律で決めてしまう以外にも、人々に自発的に環境破壊を控えるようなシステム作りも考えられています。

・環境税

国によって呼び方は様々ですが、要するに環境に悪そうな財やサービスの取引に対して税金をかけるということです。
税金の分値段が高くなるので、消費者は買い控え、売れなくなるので生産も控える、という狙いがあります。

これも課税額をどれくらいにするのかはミクロ経済学的な分析を基に考えられています。




・排出権取引

京都議定書などの実際の国際的な約束でも使われた考え方です。
排出権取引とは、あらかじめ「汚染物質を排出していい権利」を分配し、その権利の売買を可能にするという仕組みです。


これによって、汚染物質を出さない国は排出権が余るのでそれを他国に売って儲けることができますし、汚染物質を沢山出す国は自国の排出権だけでは足りなくなるので他国の排出権を買い取ることになり、結果損をするということになります。


これも汚染物質を削減する動機になるので有効だと考えられています。

(排出権の初期配分をどうやって決めるのかということに関してはかなり揉めます)


以上のような取り組みが実際に行われています。
本当はもっと複雑で難解なものが沢山ありますが、ブログという場であることも加味して煩雑にならないようになるべく簡潔にまとめておきました。



《おわりに》
何度も言っているように、環境問題は頑張るとか我慢するとかのような精神論では解決しません。
人々が自発的に環境を守った方が自分も得をするんだと思えるような制度を作ることが大切です。


最後まで読んでいただいてありがとうございます。

それではまた!

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